


アーティスト : リリー ケリー
タイトル : タリ サンドヒルズ
サイズ : 90 × 90 cm
素材 : キャンバス アクリルペイント
【アーティストついて】
リリー・ケリー・ナパンガルディは、著名なアーティストである夫ノーマン・ケリーの制作を手伝いながら自身もアートの道を歩み始め、1980年代初頭にマウント・リービッグに戻ってから、自らのスタイルでの創作を本格化させました。
彼女はコミュニティにおけるシニア・ロー・ウーマン(文化・儀式の伝承者)として、女性のドリーミング・ストーリーを担っており、若い女性たちへ儀式の舞踊や歌を教えるなど、文化の継承にも力を注いでいます。
代表作品は、彼女の祖父母から受け継いだ物語をもとに、マウント・リービッグ周辺の砂丘(サンドヒル)を、風、雨上がりの砂漠の風景を表現したものです。空から見下ろすような構図で、風により移動する砂の流れを繊細に描き出しています。
ミニマルな表現でありながら、緻密に変化する点の大きさと密度によって、きらめくような視覚的効果と空間の広がりを感じさせる独自のスタイルを確立しています。
彼女は2006年、オーストラリア先住民芸術界で最も権威ある賞の一つ「Telstra National Aboriginal and Torres Strait Islander Art Award」の最終選考に選出され、その作品は国内外のギャラリーやコレクターから高く評価されています。
【作品の魅力】
代表的なシリーズである、"タリ”とはサンドヒル(砂丘)のこと。
このモチーフは彼女の故郷の風景、祖先の物語、そして自然の精霊的な存在と深く結びついています。単なる風景ではなく、時間・記憶・大地の呼吸を描いているかのよう。
彼女の作品は、視線を引き込み、鑑賞者が静けさと深い精神性の中に誘われていくような力を持っています。静寂と躍動を併せ持つその世界観は、まるで目を閉じて風景の内側に入っていくような感覚を呼び起こします。
【空間への効果】
グレイッシュな色彩やモノトーンを基調とした作品は、空間に落ち着きと品格をもたらします。ミニマルなインテリアから自然派の空間まで幅広く馴染み、観る人の感性に静かに語りかけてくれる作品です。